ブラッディ アリス
Ⅹ
もうすぐで日が替わる時間にも関わらず、カジノの賑わいは先ほどよりも増していた。
部屋を出たアリスは一人、来た道を戻る…。
「…あの匂い…人身売買……ラピスラズリ家……私だけ…私だけの理由…」
アリスはブツブツと呟きながら、カルサの話を思い出す…。
………ふわっ……
「…!」
一瞬…歩くアリスの前に、通り過ぎる冷たい風。
その風にのって、『あの匂い』が鼻をつく…。
「…あ…」
瞳に映る、見覚えのある後ろ姿…。
その人物は、早足で出入り口へと向かって行く。
「…やっぱりね…!」
アリスは走り出すと、慌ててその後を追った。