ブラッディ アリス
…ポーン…。
エレベーターのドアが開くと同時に、アリスはパチリと瞬きをした。
「…ケータイ…預けたままでしたわね…」
アリスは目を細め、スカートの下に装備していた拳銃を手にとる。
…しーん…。
静まり返る…広々としたエレベーター前ホール…。
「この階は…たしか…ウィッシュ様と…フォルチュナ様の…」
アリスはエレベーターの上に表示してある数字を確認。
「…お二人は…いるのかしら…」
慎重に足を運ぶアリス。
「…ちっ…」
自分の使いなれた階とは違う…見慣れない造り…。
どこから誰が現れるかわからない…緊迫した空気…。
「…とりあえず……お二人の部屋に……」
…ドクン…!
その瞬間…頭が理解するよりも先に、アリスの心臓は大きな音を立てた。
「…っ?!」
『あの匂い』が…アリスの鼻をつく…。