ブラッディ アリス


「いや…気づきませんでしたね…。自分のタバコの残り香なんて…」

ジャックはスッとアリスの頭上から手を避けると、衣服の奥に拳銃をしまった。


「まぁ…恐らく…あなたのお考え通りですよ。優秀なアリス・アベル公爵様」

ジャックはさりげなく自分に向けられた銃口を逸らすと、嬉しそうな顔でアリスに微笑みかける。

「…そんなに…私が退屈そうに見えますの?ミスター・ジャック」

アリスは「ふぅ」とため息をつくと、拳銃の持つ手を下ろす。


「…言ったでしょう?…あなたと私は同じ運命のもとにあるんですよ…。お互いゲームを楽しまなきゃ…不公平だと思いませんか?」


「…ゲームなら…ラビが提供してくれますわ…。ですが…それさえもあなたの意図なら…」

アリスはぎゅっと唇をかみ締め、ジャックを睨む。



「全て、ご存知ですのね。ここにいる全員が」





< 182 / 657 >

この作品をシェア

pagetop