ブラッディ アリス
ベッドに横になるカイルに覆い被さるキオネは、ゆっくりアリスの方を向き…まるで何かを挑むかのように睨み付ける。
「…」
そんなキオネに少しだけ怒りを覚えたアリスは、不機嫌そうに部屋を出ていってしまった。
「あれ?アリス…」
「アリスは昔から短気ですもの。私たちを見て妬いたんじゃございませんこと?」
「…え?」
カイルはキオネを見上げる。
「アリスは…王子の愛人なのでしょう?」
カイルは目を丸くする。
そんなカイルを見たキオネはだんだんとカイルに顔を近づけていく。
「大丈夫ですわ。口外なんていたしません…。私の母のようにアリスを殺したりはしませんわ…」
キオネの黒い髪がカイルの頬をつたう。
薔薇色の唇がカイルの首に触れる。
カイルもゆっくりとキオネに手をまわし、優しく耳元で呟く…。
「ミス・キオネ。シャルル夫人を処刑に差し向けたのは…君なの?」
「…!」
勢いよくカイルから体を離したキオネは、慌ててベッドから降り後ろを向いた。
「し…失礼をいたしましたわ…王子。私…最近どこか変ですの…。母様の不倫を知った日くらいから…」
そしてゆっくり、カイルの方を振り返る。
「きっと母様を…許せない自分がどこかにいるのですわ…」
キオネは少し黙って俯いた後、小走りで部屋を出ていった。