ブラッディ アリス
ⅩⅡ
翌朝…6時半を過ぎた頃、アリスは目の前にある真っ白なシーツを不思議そうに見つめていた。
すぐそばにあるはずの…長い銀髪…広い胸板…甘い声…が、見当たらない。
「…ラビ…?」
生まれたままの姿で、ゆっくりと体を起こすアリス…。
壁には会議のための服が掛けられており、ベッドの横の椅子にはランジェリーが綺麗にたたまれ、用意されていた。
「…寝ちゃったのね……バスルームで…」
アリスの記憶は、バスルームでラビに強く抱かれる瞬間で終わっている。
「………はぁ…」
アリスは小さく深呼吸すると、勢いよくブランケットを剥ぎ、用意された衣服に素早く着替えた。
窓から差す朝陽…爽快な青空…。
すべてを見透かすような天に、反抗するかのような黒いワンピース…。
咲いたばかりの薔薇のような…流れたばかりの血のような…真っ赤なカチューシャ…。
「…完璧ですわ」
鏡に映った自分を確認したアリスは、足早に寝室を出た。