ブラッディ アリス



恐らく…というか、確実に、シャルル夫人が処刑されるまでの流れは全て、あのジャックの計画的犯行だろう。

そんなジャックを、それぞれ違う意味で信頼していたベルアベスタ侯爵一家…。

歪んだあの一家を何らかの目的で利用したと思われる…ジャック…。

ジャックと密かな繋がりをもつと思われる…アダム公爵と…イヴ公爵…。

そして……ラビ…。



…アリスの中で、ずっと引っかかっているあの一言。


「そろそろ…退屈だと思っていた頃でしょう?…あなたも……」



「…ん?なんか言った?」

帰国の準備をしていたラビが、アリスの方を見る。

「…べつに。何も」

アリスは笑顔を返すと、ゆっくりと立ち上がった。


「会議始まるの、もうすぐね」

「ああ…。ちょっと荷物、車に積んでくるよ」

ラビはまとめた荷物を見て、「ふぅ」と一息つく。


「わかったわ。私、先に会場に行ってるわね」

アリスは明るく言うと、会議に必要なものを持って部屋を出た。






< 194 / 657 >

この作品をシェア

pagetop