ブラッディ アリス
恐らく…というか、確実に、シャルル夫人が処刑されるまでの流れは全て、あのジャックの計画的犯行だろう。
そんなジャックを、それぞれ違う意味で信頼していたベルアベスタ侯爵一家…。
歪んだあの一家を何らかの目的で利用したと思われる…ジャック…。
ジャックと密かな繋がりをもつと思われる…アダム公爵と…イヴ公爵…。
そして……ラビ…。
…アリスの中で、ずっと引っかかっているあの一言。
「そろそろ…退屈だと思っていた頃でしょう?…あなたも……」
「…ん?なんか言った?」
帰国の準備をしていたラビが、アリスの方を見る。
「…べつに。何も」
アリスは笑顔を返すと、ゆっくりと立ち上がった。
「会議始まるの、もうすぐね」
「ああ…。ちょっと荷物、車に積んでくるよ」
ラビはまとめた荷物を見て、「ふぅ」と一息つく。
「わかったわ。私、先に会場に行ってるわね」
アリスは明るく言うと、会議に必要なものを持って部屋を出た。