ブラッディ アリス
「え?」
声のする方を振り返ると、そこには呆れた表情でアリスを見るミカエルが立っていた。
「…おはよ。なんか良いことでもあったの?アリス・アベル公爵様」
「…はー…なんで朝一番にあんたなのよ…」
アリスはガッカリしたように大きくため息をつく。
そんなアリスの反応に、ミカエルはムッとした顔でアリスの横にピッタリと張り付く。
「朝からこのミカエル様の顔を拝めて幸せだろーが」
「…あんた…いつからそんなナルシストになったのよ…」
アリスはわざと距離を離そうと、少し速度を上げて歩き出す。
「…おまえ…絶対結婚できねぇよ。ホントかわいくねぇ。そんなんだからどっかの王子に弄ばれんだよ」
「はいはい。結婚できなくて結構ですわ!…………ん?」
アリスはミカエルの言葉を頭の中で繰り返す…。
「どっかの王子……って…」
「お前んとこの王子。ツーショット…新聞に載ってたじゃん」
アリスはピタッと足を止めると、ゆっくりミカエルの方に顔を向けた。