ブラッディ アリス



「…わ…」

「…わ?」

「…忘れてましたわ…」


「……は?」



アリスの脳裏には、ベルアベスタ家の周りを張っていたマスコミの記憶が一気に甦る。


「……俺が思うに…アンディビッヒはそこを一番に突っ込んでくると思うぜ」



「…ですわよね…」

アリスは勢いよく後ろを振り返ったが、恐らく反対側のエレベーターから降りたラビの姿があるわけもなかった。

もちろんアリスのケータイは、会合中ということでラビが持っている。


「…まぁ、頑張れよ」

心にもない言葉を告げると、ミカエルは先にスタスタと歩き出した。



あの一件以来、報告文書作成に集中していたアリスは大して新聞を読むこともなく、全てのメディア情報管理をラビに任せていたのだ。


「…そういえば…何回か…カイルから着信が…」


アリスはそう呟くと、意気揚々と自分の前を歩くミカエルを睨みつけた。






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