ブラッディ アリス


ウィッシュに対し頷いたソーディルは、ゆっくりと立ち上がった。


「…失礼します。…ここ数ヶ月の石油輸入出の状勢として…」

石油大国であるカンケル国の最近の問題は、石油に対し不当な取引が目立っているというものだった。
その原因が究明されるまでの間、特例として…石油を輸入出する際には王家及び各国貴族界代表の証明が必要とする手続きの仕方をとるという。

「…本気ですか?これ以上仕事増やさないでくださいよ…。今だってちゃんとビュリエント家管轄のあいつらが各国にいるじゃないですか…」

発表するソーディルの横でブツブツと文句を言うミカエル。

「その『あいつら』が問題なのよ」

うるさいミカエルの足をさりげなく蹴るイザベラ。

「痛って…」


頭の弱いミカエルのせいで、後半ソーディルはかなり不機嫌な発表で報告を終了した。



「では次、ヴァイオリア公爵、お願いします」

すでに見慣れた光景のソーディルとミカエルのやりとりを無視し、ウィッシュは淡々と進める。

「はい。失礼いたします」
明るい声で立ち上がったイザベラは、フォルチュナにウインクで合図をし、報告を始めた。




< 201 / 657 >

この作品をシェア

pagetop