ブラッディ アリス


「えー…我がヴァイオリア家とイヴ公爵家が提携して、以前から設立を計画していましたウェディング専門エステサロン『シラユリ』ですが…」

高級エステサロンを経営するヴァイオリア家と、世界一のウェディングプランニング会社を営むイヴ家…。

この双方が念願の合同事業を創始するという…。

「と、いうわけで…国の土地を管理されている公爵様方々には、なるべく人の集まる土地を提供していただきたいのです。王家が土地を管理されている国は私から申請させていただきます。…あ、帰ったら…王家に軽く声をかけておいてください。早ければ半年後くらいから建設にかかりたいと思っておりますので…。よろしくお願いします」

イザベラは発表を終えると、チラッとアリスの方を見た。
そして少し不安そうに微笑んだ後、席に着いた。


「…では、最後に…アベル公爵…」

ドクンドクン…とだんだん大きくなる心臓の音。

思わずアリスは振り向き、荷物を置いて戻ってきたラビの姿を確認する。


「お願いします」

ウィッシュが満面の笑みを浮かべアリスを指示した。




「…はい…。失礼いたしますわ」

アリスは静まり返る場内で、恐る恐る席を立つ…。



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