ブラッディ アリス
あくまで、全ての犯行をジャックのせいにした偽りの報告。
誰が真実を知っていようと、アリスはこれを通すつもりだ。
「…現在、アリエス国全土にて『ジャック』を指名手配中。それから、キオネ嬢の身柄も捜索中です。情報が入り次第、皆様にはお伝えしようと思っておりますわ。…まぁ…『ジャック』という名が本名かも不明ですが…、調査しましたところ、『ジャック』という名で従者登録をしているのがわかりました。顔写真は『貴族界ポータルサイト』の従者登録情報で確認できます。…以上ですわ」
アリスはあえて、会議の資料にジャックの顔写真を載せなかった。
恐らくこの場で顔写真を見せたら…ラビと同じ瞳の色というところに気づかれ、面倒なことになると思ったからだ。
報告を終えたアリスを見て、伯母であるルナリアは一人、静かに拍手をしていた。
少しの沈黙のあと、ウィッシュが静かに席を立った。
「ありがとうございました。それでは、各グループに分かれて議論してください。会場の四つ角にそれぞれ円卓を用意しておりますので…。えー…じゃあ、各グループ内でも色々会議があるでしょうし、今から2時間としましょう。その後早めの昼食をとりまして、それから意見交換とします」
そして全員静かに、自分の所属するグループに分かれていった。