ブラッディ アリス
「素晴らしかったよ。アリス」
グループ用の円卓に向かう途中、笑顔でアリスに囁いたのは…あのプレイボーイ…クラウドだった。
「…ホント女好きだよな…クラウド様」
その様子を見ていたミカエルが呆れた表情で呟く。
ミカエルの言葉に二度頷くアリスも、クラウドの言動にはつくづく呆れていた。
「揃いましたわね。さっさと始めましょう」
ミカエルとカルサが席に着いたのを確認し、着席するアリス。
それぞれの執事が、円卓に用意されたアイスティーをグラスに注ぐ。
「…俺…思ったんだけど…、罪人が自ら公開処刑を望んだ場合も…文書って必要なんじゃないの?…あと証人とかさ…。あの日電話した時は…まさか罪人が自ら望んだなんて思ってなかったけど…」
両腕を組みながら、さっそく難しい顔をしてアリスの報告内容についての疑問を表すミカエル。
「…そうよ。だから問題なんじゃない」
アリスはミカエルに対し答えると、ゴクゴクと一気にアイスティーを飲み干した。
「お…お疲れ様…アリス…」
明らかに挙動不審なカルサが、アリスに弱々しい笑顔を見せる。
「どうかしたんですの?カルサ」
カルサの様子を心配するかのように問いかけたアリス…。
だが全てをわかっているアリスは、内心ニヤリと笑っていた。
「いや…。アリスすごいなぁと思ってさ…。さすがアベル家当主だよね」