ブラッディ アリス
「………」
楽しそうに話し合うアリスたちを、アンディビッヒは軽蔑の目で見つめていた。
「アリスは恵まれていますね…。本当に優秀ですし…」
アンディビッヒの様子を窺いながら、そう話しかけたウィッシュ。
「…ふん…。私は認めませんよ…。あの軽率な行動といい…貴族界代表としての自覚が無さ過ぎる…」
アンディビッヒは厳しい表情でウィッシュに対し答えた。
「ああ…あの王子との件ですか?…うーん…あれは…もしかしたら…わざとかもしれないですよ…」
ウィッシュから放たれた意味深な発言…。
「…それはどういう意味ですか?アダム公爵…」
アンディビッヒの食いつきに、ニヤリと笑ったウィッシュは、静かにフォークとナイフを置いた。
「ほら…よくあるじゃないですか…。何かを隠すために、別の何かをわざと大きく見せるとか…」
ウィッシュは冷徹な眼差しで、じっとアリスを見つめる…。
「何かを隠すため…か…」
アンディビッヒは何かを考え始めた。
「…とりあえず…今回の事件は不可解な点が多すぎますね。これは…暗々裏に調査を進めた方が得策かもしれません…」
「なるほど。…まぁ…今この場でアリスの証言を聞いても腑に落ちないしな…」