ブラッディ アリス



少しずつ…別の歯車が廻り始める…。

いや…もうすでにずっと前から、その歯車は廻り始めていたのかもしれない…。



「と、いうことで…いかがなさいます?スティルバロ公爵」

「………そうですな…」







結局…アリスはモデルをやることになり、婿役は未定ということで話は終了。

昼食を終えたメンバーは、数分の休憩をとり、それぞれ一番最初の席に着いた…。


「それでは会議を再開したいと思います…が、申し訳ありません。私めに急用が入りまして、今日中に国に戻らないといけなくなってしまったのです…」

ウィッシュの思いがけない発言に、ゾディアックの面々は動揺する…。

「本当に申し訳ないのですが…、とりあえず…ビュリエント公爵家の議題と、ヴァイオリア公爵家…及びイヴ公爵家の議題については、皆様の了承を確認するだけとします。アベル公爵家の議題につきましては、後日…臨時会合を開こうと思います…。それでよろしいですか?アベル公爵…」


「……はい……」


アリスは突然のことに、ただ返事をするしかなかった。

理解できていない様子のフォルチュナが、起立しているウィッシュの顔を不思議そうに見つめる。

顔を見合わせるイザベラとミカエル…。

そして…アリスの左肩らへんをじっと見つめるルナリア…。




「では…これにてゾディアック春季会合を終了いたします。皆様、お気をつけてお帰りください…」


二つの議題については全員一致の了承を得て、この会合は幕を閉じた。


足早に場内を出て行くウィッシュと、その後を着いていくフォルチュナを、無言で見届けるアリス…。


「…ふん…。逃げたわね…」

アリスはそう呟くと、カルサのところへ向かった。







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