ブラッディ アリス
「あ、アリス。今ね、ラビと打ち合わせしてたのよ」
アリスに気づいたイザベラが、嬉しそうに笑いかけた。
イザベラは完璧にビジネスモードだ…。
「…モデルの話ですの?…でも三ヵ月後なんてどうなってるか…」
アリスは呆れた顔をして、ラビの顔を窺う。
「そうそう!具体的にはまだわからないけど、その頃に豪華客船での貴族界パーティーがあるでしょ?たしか使ってる船にチャペルがあったから、まずはそこで撮影しようと思うんだけど…」
「…だそうです」
ラビもアリスに笑顔を返す。
「……う…」
貴族界パーティーには、もちろん強制参加。
ゾディアックのメンバーが欠席することは、断固として認められない。
「それだったら、忙しくても何があっても…来られるわよね?」
勝ち誇ったようなイザベラに、アリスはもう何も言えない…。
「じゃ、よろしくね」
イザベラはアリスの肩をポンッと叩くと、ご機嫌な様子で場内から出て行った。
「…経費削減…ですわね。まったく…私がお金に拘らないからって…」
「でも報酬は出るそうですよ?」
「建て前上ですわ」
アリスは納得いかないというような顔で、ラビを見つめた。