ブラッディ アリス
「そういえば…カルサ様は?」
むくれるアリスの頭を撫でながら、ラビは不思議そうに場内を見渡す。
「帰国しましたわ」
「…え?」
「話は後。私たちも、帰国しますわよ」
アリスはそう言って、一人スタスタと歩き出した。
「……」
場内では、アリスの後ろ姿を切なそうに見つめるルナリア…。
「ルナリア様…?」
執事のフヴァルナが、心配そうに寄り添う。
「…本当に…託すしかないのですわね…」
苦しそうな声で呟くルナリアは、ぎゅっと両手を握り合わせる。
「……絶対に大丈夫だからと…手を出さないでと…リナリアに言われましたもの…」
…だって少女は、兎に従うしかないのだから。
兎についていけば…いつか出口に辿り着くのだから…。
たとえ…
…通る道が血に染まっていても…。
「……早く…あの子が…赤と黒から…解放されますように…」