ブラッディ アリス
「とりあえず…カイルもご存知のとおり、金持ちって残酷よね」
アリスはそう言って、ケータイの電源を入れた。
「で、どうするんだ?」
時刻は4時半をまわっている…。
アリスは少し何かを考えた後、ケータイを首からぶら下げた。
「自分の母親を処刑にさせるほどの娘。私のことだって殺ろうと思えば殺れる…。だったらむしろ遊んであげるわ。このベルアベスタ家を追いこんであげる」
アリスの中ではすでに計画が成り立っていた。
カイルのことを気に入っているキオネが、カイルと仲の良いアリスに妬かないわけがない。
そこを利用して、アリスを殺したいとまでにキオネを追いつめる。
それと同時にベルアベスタ侯爵とキオネの関係を探る。
現場を押さえたら侯爵を脅し、自害にまで追いこむ…。
「ホント…アリスといたら楽しくて仕方がないよ」
カイルは呆れたように笑った。
兎の罠は、一人の少女を深い深い穴に突き落とす。
少女はまんまと罠にはまり、退屈しのぎのため…人間で遊ぶことの快楽を知った。
それはあまりに残酷で、時を刻むごとに少女は鮮血に染まる。