ブラッディ アリス
「どう?楽しかった?」
カイルはニヤニヤしながら、アリスと一緒に屋敷までの道を歩く。
「…べつに…。まぁカイルとの関係については…色々あって聞かれなくて済んで、良かったけど」
アリスはケータイを確認しながら、そっけなくカイルに答える。
「なんで?…僕は城に呼ばれて大変だったんだよー。父様や兄様たちに怒られてさ…」
不満そうにアリスをじっと睨むカイル…。
「あら。カイルがシンデレラ以外の女といるなんて…今さら怒ることじゃないじゃない」
「そうじゃないって!我がアリエス国誇る優秀なアベル家当主様の顔に泥を塗るなってこと!」
「………あ…そう…」
苦笑いをしながらカイルに答えた後、アリスは何かに気づき屋敷の二階を見上げた。
二階の窓が一つ開いていて、そこから微かに歌が聞こえる…。
「あぁ…ナナリ…戻ったみたいだよ。僕が来たら普通に中に入れてくれたし」
「…そうなの…。何週間ぶりかしら…」
アリスは少し安堵したような、でも悲しそうな表情で窓を見つめていた…。