ブラッディ アリス
「…二人には…村落の子どもとして中に入ってもらう。ただ単純に権力を使ってやるんじゃ…面白くないからね…。それに、情報では…リトルメラ侯爵は、一切の外部からの訪問を拒否してるらしいんだ…。たとえ…どんな貴族であってもね…」
ラビはニヤリと笑う。
「…つまり今回は……『求められている者』として赴くのが一番いい…」
ラビの考案に、アリスとカイルは大きく頷き納得した様子。
「……でも……そんなに上手くいくのかしら…。村落の子どもになりきるなんて…」
「…だよな…。僕ら生まれつき…王子と令嬢なわけだし……」
二人は自信なさそうに、お互いを見ては俯いた…。
「そこは周りを見て演技すればいい。きっと他にも子どもはいるんだろうしね」
ラビは一人余裕な表情であっさりと返す。
「んー…わかったわ。演技力には自信あるもの!」
アリスは腹をくくったように、ぐっと拳を握った。
「アリスにできるんなら、僕もできるね」
カイルは両腕を組み、ニヤニヤと笑いながらアリスを見る。
「…まぁ…油断は禁物だよ。僕も中に入るけど、きっとそんなにそばにいられるわけじゃないし」
ラビは釘を刺すように二人に言うと、ティーカップに口をつけた。