ブラッディ アリス
「…だから僕をアリスと一緒に…?」
カイルもお茶を飲みながら、ラビに問いかける。
「…それもあるけど…。まぁ、行けば理由がわかるよ。侯爵の…狙いがね…」
ラビは意味深な言い方をして、不適な笑みを返す…。
「…ふん…。とりあえず…遊べばいいのよね。その女侯爵相手に」
アリスは長い金髪をいじりながら、ラビの肩に寄りかかった。
「…きっと今回も…最高のゲームが待ってるよ…。アリス…」
「ふふふ…。期待してるわ…」
そうして、三人は翌日に向けた準備を始めた。
途中、二階から降りてきたナナリが軽い夕食を作ってくれたり、練習していた歌を披露してくれたりしながら…。
それでも全員、午前2時には就寝。
アリスの部屋の大きなベッドに、アリスとラビとカイルの三人で。
「…なんでカイルが一緒に寝るんだよ…」
すでに眠りについたアリスを起こさないよう、ラビが小声で呟く。
「…俺もそんなお人好しじゃないからさ。たまには二人の夜の営みを妨害しないと…ね」
カイルは楽しそうにラビに言い返すと、横にいるアリスの寝顔を覗き込む。
「…アリスは誰にも渡さない…」
「…それはこっちのセリフだ…」
そんな二人の会話なんて、知りもしない少女は穏やかな顔で眠る。
深い深い穴に落ちて、白い兎の跡を辿る夢…。
導くのは兎でも、少女をずっと見つめているのは…
…一匹の猫だったりする…。