ブラッディ アリス
「…情報によると、リトルメラ侯爵が子どもを集めているのは…誰かを捜しているから…らしいんだ…。…その子どもの名が…『ヘンゼル』と『グレーテル』…」
「…じゃあ…!…僕とアリスの名前を…」
カイルは閃いたようにアリスの顔を覗き込む。
「バカね。何の目的かもわからないのに…。そんな風に名乗るのは、逆に目をつけられて困るわ」
アリスは醒めた表情をカイルに返すと、ラビを見つめた。
「ラビ……あなた……すでに従者登録してるわね…リトルメラ侯爵家に…。…それか…すでに従者としてホームにいる誰かと繋がっているか…」
アリスのまっすぐな眼差しに、ふっと鼻で笑うラビ…。
「それは想像に任せるよ。とりあえず僕が持ってる情報はここまで…」
そう言って窓の外に顔を向けるラビは、ガラス越しに映るアリスを確認する。
「……わかったわ…。とりあえず着くまで休みましょう。カイル」
アリスは自分の席に戻ると、さっさと寝る体制をつくった。
「………え?…うん…」
カイルは一変した雰囲気に戸惑いながらも、静かに自分の席についた。