ブラッディ アリス


無事、エアポートに着陸をすると、それまで無言だったラビが口を開いた。


「二人とも、このマント羽織って。仮にも王家のジェット機だから、外で誰か待ってるはずだ」

「わかってるよ。アリスも身分証…用意しといてね」

カイルはさっさとマントを羽織ると、コックピットへ向かった。


「……アリスもお腹すいた?ターミナルで何か食べようか」

ゆっくりとマントを羽織るアリスに、笑顔で話しかけるラビ…。

「…そうね…」

アリスは笑い返すことなく、無表情でラビの横をすり抜けて行った。




ジェット機の外では案の定…警備員二人と王家専属の兵士と思われる人が一人、アリス達を迎えるため待機をしていた。

「ごくろうさま。アリエス国第四王子カイル・テネクッド・アリエス…。これ、身分証ね」

カイルは慣れた手つきで身分証を警備員に渡す。

「長旅お疲れ様です。本日は…サジタリウス国王家に御用ですか?」
少し緊張気味の兵士がカイルに対し深くお辞儀をする。

「いや、こちらの令嬢が貴族界に所用があってね」

アリスは静かに身分証を見せる。

「アリエス国貴族代表…アリス・アベルです」

アリスの身分証を確認した瞬間、警備員二人は顔を見合わせた。

「ってことで、僕らが来たことは口外しちゃダメだから。…意味…わかるよね?」





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