ブラッディ アリス
カイルは今この瞬間、全世界で話題となっている自分とアリスの関係を逆に利用することにした。
何も言わずとも、警備員たちと兵士はカイルの言葉に従うしかない。
「その有無、国王にも伝えといて」
カイルは軽くウインクをすると、自分とアリスの身分証を静かに警備員の手から抜き取る。
そして三人は足早にその場を離れた。
「…慣れてるわね…」
ターミナルへ向かう途中、アリスはカイルを醒めた目で見ながら呟いた。
「そう?」
カイルはあえてアリスを見ずに言葉を返す。
「…さすが、毎週違う女と寝てるだけあるわ」
アリスはカイルを睨んだ後、ターミナルの入り口を見つめる。
「…語弊があるよ、それ。…正しくは殺した後、寝る…ね」
そんなカイルの不適な笑みに、アリスは大きなため息をついた。