ブラッディ アリス


ガチャン…。


出入り口の扉が開き、運転手が席を立つ。


「ようこそ。君たちは…兄妹かな…?」

ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべた運転手が、アリスとカイルを交互に見つめる。

「…は…はい…」

返事をしながら、無意識に拳銃を確認するアリス。

「契約書は持ってるかい?」

運転手はファイルのような物を手に取ると、それを眺め始めた。

「いや…あの…僕たち…親を亡くしていて…」

「……なに?」

カイルの一言に、目の色を変える運転手。

「…やっぱり契約書が無いとダメですか?」

アリスは一歩進んで、少し強気に運転手に問い質す。

運転手は少しの間アリスとカイルを黙って見つめた後、再びファイルを真剣に眺めた。


「……大丈夫…。契約書が無くても大歓迎だよ。乗りなさい」

パタンッとファイルを閉じた運転手は、満面の笑みを浮かべ、二人をバスの中に迎えた。




< 264 / 657 >

この作品をシェア

pagetop