ブラッディ アリス
ガチャン…。
出入り口の扉が開き、運転手が席を立つ。
「ようこそ。君たちは…兄妹かな…?」
ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべた運転手が、アリスとカイルを交互に見つめる。
「…は…はい…」
返事をしながら、無意識に拳銃を確認するアリス。
「契約書は持ってるかい?」
運転手はファイルのような物を手に取ると、それを眺め始めた。
「いや…あの…僕たち…親を亡くしていて…」
「……なに?」
カイルの一言に、目の色を変える運転手。
「…やっぱり契約書が無いとダメですか?」
アリスは一歩進んで、少し強気に運転手に問い質す。
運転手は少しの間アリスとカイルを黙って見つめた後、再びファイルを真剣に眺めた。
「……大丈夫…。契約書が無くても大歓迎だよ。乗りなさい」
パタンッとファイルを閉じた運転手は、満面の笑みを浮かべ、二人をバスの中に迎えた。