ブラッディ アリス
Ⅵ
『フロマージュ』を出たアリスとカイルは、ラビに案内され『ミルフィーユ』へと向かう。
「…ラビ……じゃなかった…リークさん…」
カイルはラビの右横につくと、チラッと後ろを振り返る。
三人から少し離れ、ジャックとあの四人が後ろからついてきている…。
「呼び間違いは絶対するなよ…。ここの誰も…二人の正体には気づいてない…」
カイルはため息をつきながら、軽くカイルの肩を叩く。
「…わかってるよ…。とりあえず、どの辺から聴いてたわけ?会話」
「……オウルが私の名を口にした辺りから…ですわよね?」
アリスはラビの左横に並び、ラビの顔を伺う。
「………そう……まさか他にも貴族の方々がいらっしゃるなんて…思いもしなかったよ」
ラビは真っ直ぐ前を見て進みながら、クククッと小さく笑った。