ブラッディ アリス
Ⅷ
「……きれい…」
寮舎を出ると、そこには満点の星空が広がっていた。
アリスは空を見上げ、一番大きく輝いている星をじっと見つめる…。
…ガチャ………バタン…
誰かが扉を開けた音に反応し、アリスは振り返った。
「…大丈夫ですか?…アベル公爵…」
寮舎から出てきたオウルが、アリスに妖しく微笑みかける。
「誰かに聞かれたらどうするの…。あなたの身が、危険になるわよ」
アリスはオウルを睨み、また星を眺めた。
「さすがゾディアックの方ですね…。私めの身を案じてくださるのですか…?」
オウルはクスクスと笑いながら、自然にアリスの横につく。
「…あなた……デルデ家の御曹司でしょ…」
アリスはそう呟くと、つられたようにクスクスと笑った。
「…よく…わかりましたね?」
驚いたようにアリスを見るオウル。
「……立ち振る舞いが、社長にそっくりだわ…」
「…父…に?…」