ブラッディ アリス
Ⅹ
結局…アリスとオウルは、タウティとクレスタの登場で家に戻ることとなった。
二人の帰宅に嬉しそうなノーカだったが、アリスの顔を見るなりムッとした表情を浮かべた。
「遅かったのね。兄さん」
「…ちょっとね、明日からの説明を受けてた」
意味深な兄妹の会話に、耳を傾けるアリス…。
そんなアリスに、心配そうに寄り添ったカイルは、アリスの肩をポンポンッと軽く叩いた。
「あとで、話があるから」
「…え?」
「……一人だけで考えるなよ…」
「…わかってるわ…」
アリスはカイルの顔をチラッと確認すると、静かにザリチェに近づいた。
「…さっきは…ごめんなさい…」
アリス・アベルから、アンジェラに切り替わる少女…。
そっとザリチェの右手を、両手で握った。
「…ううん…気にしてないから……」
ザリチェは軽く微笑むと、アリスの両手を左手で撫でた。