ブラッディ アリス
「この施設『スイーツホーム』には…まず、6つの建物があるの」
一番最初に案内された『本館フロマージュ』、15歳未満の子どもたちが生活する『寮舎シフォン』、15歳以上の子どもたちが生活する『寮舎ミルフィーユ』、そして15歳未満の子どもたちが学習するための『学舎ババロア』、15歳以上が訓練する『別館タルト』…。
「あと一つが…館長ラミア様とその従者たちが暮らす『リトルメラ邸』…」
そこまで説明し、ザリチェは静かに紅茶を飲んだ。
カルサが訪問したときより…建物が増えている…。
そう考えながら、アリスはじっとザリチェの様子を観察していた。
「私たちは行動制限がとくに無いの。だから、この施設内であれば、何時にどこへ行って何をしても、とくに何も言われないわ」
ただし、施設を脱け出すことは絶対に不可能…と、ザリチェの横に座るノーカが付け加えた。
「でも日常の中で、絶対に、やらなきゃいけないことがあるの」
ザリチェは少し考えて、言いにくそうに続けた。
「…男子は立派な紳士になるための…訓練…と…」
不思議そうな顔で、その場にいる全員がザリチェを見つめた。
「…じょ……女子は、立派なレディーになるための…いろんな……」
普段クールにしているザリチェが、言葉をつまらせる…。
「わかったわ」
「わかりました」
「言わなくていい」
「…なるほどね」