ブラッディ アリス


なんで…アリスは…昔から…こんなに恵まれているんだろう…。

自分には無い綺麗な金髪、美形で高貴な男性たちに囲まれ、生まれながらにある地位と、当然のように築いてきた名誉…。
そして今では、18歳という若さで「アベル家」の当主。

アリスの何もかもが腹立たしい…。


キオネの中では確実に、アリスへの『嫉妬』が大きくなる。

「そんなに…カイルと私が近づくのが…お嫌ですの?」

キオネのその言葉を聞いたアリスは、心の中でニヤリと笑った。

「…どうして?」

「…あら…その理由、ここでおっしゃってもよろしいのかしら?」

部屋の中で待機する数人のメイドを見ながら、キオネはわざと声を大きくする。

アリスとカイルが愛人同士だと思っているキオネは、そこを利用しようと考えていた。



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