ブラッディ アリス
ノーカの話に思わず飲んでた紅茶を吹きだしてしまったカイル…。
「…おにいちゃん…汚い…」
とっさにアリスが「はぁ」とため息をつき、ザリチェが用意してくれたティッシュで、カイルの口周りを軽く拭いた。
「……それって……絶対やらなきゃいけないの…?」
カナリィが少し青ざめた顔で、ザリチェとノーカに尋ねる。
「…うん…。しかも、何を教わったのか、何をしたのか、その夜のことは誰にも言ってはいけないの」
「……ここでそれなりに裕福な生活をさせてもらってる以上……逆らうことは…できない…」
ザリチェとノーカは真剣な眼差しで、カナリィを見つめた。
「……僕は許せないなぁ…。そう思わない?…タウティ!」
カイルがわざとらしく大きな声で、タウティに聞こえるように言い放った。
…コツコツコツ…。
ダイニングルームから苦しそうな顔を見せたタウティは、静かにみんなに近づいた…。
「僕も同じ。…でも逆らうことはできない…。…あの…ジャックさんは…とても怖い…。そう思った」