ブラッディ アリス
ⅩⅠ
「まさか…『兄と妹』が二組も現れるとはね…」
カラン…とグラスに入った氷が鳴る…。
真っ暗な窓の外を見つめながら、ラミアはクスクスと笑い出した。
「…ねぇ…どう思う?…どちらかが…『ヘンゼルとグレーテル』だと思う?」
まだ新築の香りが漂うリトルメラ邸…。
その中心部にある広い空間で、当主ラミアはソファーに座る二人の男に目線を移す。
「…その可能性は高いと思いますよ…。本当に…このサジタリウスに二人がいるとすれば…オロバスの存在には、すぐに気づくはず…」
「…リリス家にとっては大事な鏡でしょうから…すぐ取り戻しに来るはずですしね…」
ラミアはその言葉に満足そうに頷き、静かにソファーに腰掛けた。
「…今日はどっちが行くの?…ジャック…?それとも…リーク?」
大きなグリーンの瞳に映る…二人の執事…。
「…今日からは、二人ずつ教育していきますよ」
ラミアに笑顔で答えたジャックは、ポケットからコインをスッと取り出した。