ブラッディ アリス


「……ゾディアックには…名前まで知られていたのか…」

悲しそうに呟いた後、タウティは包丁をザリチェに手渡した。

ザリチェは何も言わず、受け取った包丁を洗う。

「…世間は超異常現象と言ってましたわね。まさか、こんな兄妹二人の仕業だったなんて…誰も思いませんものね」

アリスは最後の食器を流し、ザリチェに手を差し出す。

「……あんなこと…するつもりは無かったの…」

ザリチェはじっとアリスの手を見つめた後、ゆっくりと包丁をアリスの手に渡した。

「…本当に辛かった……。だから私たちは…オフィユクスを離れた…」


……キュッ…

包丁を流し終えたアリスは蛇口を戻し、そばに用意されてあるタオルで手を拭いた。


「…父様の残した資料に書いてありましたわ…。殺された両親の、復讐が原因だと」

一瞬切ない顔を見せたかと思えば、にっこりと微笑むアリス…。

「気持ち、わかるわ。私も同じだから」


「…え…」

驚きの表情を見せるタウティとザリチェ…。


「……だから…あなたたちとはいずれ戦わなきゃいけないわね。…ヘンゼルとグレーテル…」



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