ブラッディ アリス
数秒で室内の構造を頭に入れたアリスは、動かずにただ笑うだけのジャックを見つめた。
「…可笑しいんじゃない……嬉しいんですよ……」
ジャックは自分の前髪を右手でグシャッと軽く握った後、ゆっくりと顔を上げた。
「あなたが私のモノになる。こんなに光栄なことはありません」
薄暗いオレンジ色の灯りの中に、ポツンと浮かび上がる赤い瞳…。
アリスはゆっくりと後ずさりをする…。
「…じゃあ、私の体を捧げる代わりに…カナリィには何もしないと約束して」
「……なぜ……?…あなたにとって、それほど重要な存在ではないでしょう?」
「……あなたにとっても重要ではないでしょう?…だったら無駄に貴族界を荒らさないで。…迷惑だわ」
そう言いながら足を止めたアリスは、バッと服を脱ぎ始める。
「…いいでしょう。…ただし、私の欲望はあなたの体だけじゃ満たされない…」
ジャックはアリスに答えながら、一歩ずつ近づいていく…。
「…あなたには、私の子どもを生んでいただきます。…アリス・アベル公爵…」