ブラッディ アリス
「…ありえない…。正体バレまくりじゃん…」
外に出たアリスとカイルは、清々しい緑の香りが広がる道を歩き始める。
「…仕方ないでしょう?…オウルとタウティには会ったことがあるんだもの。…必然的に二人の身内にはバレるわ」
アリスは「特に問題なし」というような顔で堂々と答えた。
「オウル…はわかるとして、タウティ…は?貴族なの?」
カイルは少しイライラした様子で、アリスと目を合わせようとしない。
「…正式には貴族ね。…貴族界には入れないけど…」
「……え?…それって…」
「……ここ…こんな綺麗な庭になってたのね…。全然気づかなかったわ」
アリスは寮舎の周りが庭になっていることに今さら気づき、そこに咲く花々を興味深そうに見始める。
「…アリス…!」
「…タウティはリリス家の直系。ザリチェもね」
アリスはそう言って、目の前にある見たことのない色の花をプチッと摘んだ。