ブラッディ アリス
時計の針は8時を指す。
部屋を出たキオネは、薄暗い廊下を静かに歩き始めた。
キオネの後ろをついて歩くアリスとカイルは無言。
アリスは首からぶら下げていたケータイを開く。
「…地下牢に…お母様はいますの。地下は暗いので足元に気をつけてくださいませね」
キオネはそう言うと、カイルを見て微笑む。
屋敷の一番奥に、地下へ通じる扉はあった。
淡いオレンジ色の光を浴びた扉…今にも何かが出てきそうな雰囲気。
アリスはさりげなくカイルの小指を握る…。
「今、鍵を開けますわ」
キオネは慣れた手つきで3つの鍵を順番に解いていった。
カチャ…。
「階段下りてすぐお母様が…」
キオネが先に中へ入ろうとした瞬間、ぐいっとカイルがキオネを自分に引き寄せた。
「カイル!?」
アリスとキオネは同時にカイルを見る。
「キオネ…やっぱり君は行っちゃいけない…。さっき言ってただろ?母の顔を見るのが辛いと…」