ブラッディ アリス


「まぁ…あなたには必要のない訓練だとは思いますけどね。カイル殿下」

ふっと表情を変えたタウティが、低い声でボソッと呟いた。

「…!」

カイルは一瞬目を見開く。

「とりあえず訓練にはちゃんと出てよ」

タウティは笑顔を戻すと、ダイニングの方へ歩いて行った。


「…仕方ないわ。私の正体を知ってるんだから」

ツンとした態度でアリスはカイルの横につく。

「だよな…。なんか今さら…恥ずかしくなってきたよ…。この格好」

苦笑いで頭を抱えるカイルを見て、クスクスと笑い出すアリス。



「…で、どうする?」

「………訓練に行ってちょうだい。その間、寮舎の周りを調べてみるわ。昼食をとった後、この施設を探ってみましょう」



「…了解…」


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