ブラッディ アリス
アリスは植物をビニール袋に入れると、また歩き始めた。
道の分岐点には丁寧に看板が立ててあり、矢印と建物の名前が記されてある。
「…こっちに行くと…リトルメラ邸…。そういえば…書斎があるって言ってた…」
…ジャックは…訓練中だから…いないはず…。
アリスは少し考えて、リトルメラ邸へと向かうことにした。
ビニール袋の隅には、赤い液体が溜まっている…。
考えたくは無い…考えたくは無いけれど…。
人間の認識で…赤い液体といえば…一番最初に思いつくのは…『血液』。
もしくは一種の殺虫剤か何かか…。
手に触れても何も起こらなかった点から、人体に影響はないと思われるが…。
アリスは一歩一歩進みながら、色々な可能性を考えていた。
道中は人の気配が一切なく、ただ時折やわらかい風によって、木の葉や草花が静かに揺れる音だけが聴こえていた…。