ブラッディ アリス
「カ…カイル…?」
顔を真っ赤にしながら、カイルに抱きしめられているキオネ。
「…辛そうなキオネは見たくない…」
キオネの肩に顔をうずめ、ぎゅっと抱きしめるカイル。
「…ふーん…そうゆうこと…。理解したわ。…勝手にすれば!!」
バタンッ!と勢いよく扉を閉め、アリスは一人で中に入って行った。
「カ…カイル…!アリスが怒って…」
「いいんだ……」
切ない顔をして自分を見つめるカイルを、キオネは思わず力いっぱい抱きしめた…。
「なんて早い恋の展開かしら」
地下への階段を下りながら、アリスは醒めた顔で呟いた。
そして機嫌よく鼻歌を奏で始める。
「…その歌は…アリスね…」
狭い地下牢に響く、女性の声。
薄暗い牢屋は、一つの灯火でやっと見える程度だった。
「お久しぶりですわ。シャルル夫人」