ブラッディ アリス
ガチャッ…!
「アンジェ…」
部屋のドアを開け、名前を言いかけたカイルは、目の前の光景に絶句した。
窓の外に向かって、壁のインテリアだったロープを放り投げるアリス。
「…行くわよ!急いで!」
「…はっ?!」
事態を把握できないまま、とりあえずアリスの元へと駆け寄るカイル。
「ちょ…待って!…今日はこれから外出禁止になるって…さっきタウティが!」
「知ってるわ。正午からでしょう?…だからここから降りるのよ!」
「えぇ?どこ行くんだよ?」
「……いいから早くっ!」
アリスはパンを口にくわえると、スッと窓枠へ座り込んだ。
ロープの先は、しっかりとベッドの脚に巻きつけてある。
「……」
アリスはきゅっとロープを握ると、外壁をつたい、ゆっくり下へと降りて行った。
「…ホント…なんでもできちゃうね…アリス嬢は…」
カイルはそう呟きながら、アリスの後に続き、ロープを握り締めた。