ブラッディ アリス

ⅩⅨ





「12時5分…。もう見張り役のラビは寮舎に行ってるはず…」


フロマージュに辿り着いたアリスとカイルは、とりあえず鏡のある部屋へと向かった。

本館の外にも中にも人の気配は無かったが、アリスは警戒しながら銃を構える。


「…昨日…脱いだんだろ?…没収されなかったの?」

カイルはさりげなく眼鏡のスイッチを入れながら、アリスの拳銃を見つめた。

「されなかったわ…。無意味だと思ったんじゃない?」

アリスは部屋の前に辿り着くと、恐る恐る扉を開ける。

「…脱いだことは…否定しないんだね…」

周りを確認しながら、呟くカイル。

「……私が誰だかわかってる?カイル」

部屋の中に人がいないことを確認したアリスは、すばやく室内へ身を隠す。



「…わかってますよ…アベル公爵様。…あなたはそういう教育を受けてきた方」




アリスの後に続き室内に入ったカイルは、音を立てずに扉を閉める。





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