ブラッディ アリス



「…そういえば…まだ一年も絶ってないのに、この施設を閉鎖させるかもしれないって…本当か?」

突然…今まで黙々と椅子運びをしていた男の一人が足を止め、仲間達に問いかけた。

「…まだ閉鎖はしないと思うけど、子どもの募集はもう止めるらしい。…まぁ…けっこう集まったしな。目標の人数はいっただろ…」

「っていうか、昨日入ってきた新人りの中にいたらしいぜ。あの『兄妹』が」


その一言に、アリスとカイルは顔を見合わす。


「…え?なんでわかったんだ?」

「…ほら…そこの…鏡。…そこの鏡と喋ってる二人を、子どもの一人が見てたらしいんだ」


男たちが全員オロバスの鏡の方を向いたため、アリスとカイルは身を隠す。


「……ふーん…。ただの鏡なんだけどな…。本当に喋るのか…?」


そうブツブツ言いながら、男たちはまた体を動かし始めた。







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