ブラッディ アリス
物心ついた頃、キオネは侯爵に尋ねた。
「母様は…私がお嫌いなの…?…父様は…ずっと一緒にいてくれる…?」
そのなんとも愛らしい娘の姿に我慢できなくなった侯爵は、幼い少女に無理やり性行為を施す。
なんとも言えない快楽を知った侯爵は、それから幾度となくキオネを寵愛するようになった。
母からの暴力と父からの異常な愛を受けたキオネの心は…いつしか歪み始め、そして母に復讐心を抱く。
そんな母シャルルは、娘キオネ以外の子にはとても優しかった。
「アリス、鏡に尋ねてごらんなさい?」
「えっと…鏡さん、アリスのこと見えてますか?」
昔から仲の良かったアリスの母を屋敷に招いては、その娘アリスにも鏡を見せたり、楽しそうに人形で遊んだりする。
シャルルの指示により、鏡はアリスとアリスの母には答えるようになっていた。
だがキオネは部屋に入ることすら許されず、いつも扉の隙間からその光景を見つめているだけ。
「私の責任ですもの…。あの子があんな風になったのは…」