ブラッディ アリス


突然、室内に甲高い女性の声が響いた。

アリスとカイルは慌てて身を隠すように屈み、声のする方を見る。


「…殺された…?…なら…早くここへ死体を持ってきなさい…」

そして下に現れたのは、腰を曲げながらズルズルと歩く黒いローブを着た老人…。


「あれは…!」

その老人を見た瞬間、アリスの中でシナリオが完成した…。


「あれ…誰だかわかるの?」

カイルがコソコソとアリスの耳元で囁く。

「…ええ…。彼は、ドクター・ラマツ。リリス家を追放された魔導博士よ」

アリスは深刻な表情で答えた後、下の様子がもっと見えやすい所へと移動した。

「ドクター・ラマツ…?魔導博士?あんなヨボヨボが?」

カイルもアリスの後につづき移動する。

「…『不死の儀式』をしたのよ。シャリオ司教みたいな『不老』じゃなくてね。あんなんだから体力は無いだろうけど、リリス家としての魔力はすごい持ってる。…あいつを殺るなら、かなりの覚悟が必要よ」

その言葉を聞いたカイルは、あらためてドクター・ラマツを見た。





< 406 / 657 >

この作品をシェア

pagetop