ブラッディ アリス
ドクター・ラマツと話しているのは、ラミア・ネネ・リトルメラだった。
「…確かに子どもしかいなかった…。だとしたら、部下に裏切り者がいるか…、侵入者がいるか…」
ラミアはイライラした様子で、ガラスのタンクを覗き込む。
「……侵入は難しい…。この施設の外壁は越えられるものでは無い…。じゃからと言って…部下が裏切ってるとは思えん…。…フォッフォッ…。じゃとしたら…賢い子がいるんじゃろう…。『殺し』を知っている…子どもが…」
「…子どもが殺ったって言うの?!」
ラミアは大きな胸を震わせ、ドクター・ラマツに詰め寄る。
「……あくまで、わしの意見じゃ…。とにかく…わしが必要なのは、子どもの血じゃ…。はよ殺さんか…」
ドクター・ラマツはそう言いながら、また元いた場所へと戻っていった。
「ドクター・ラマツ!ジャックを見なかった?!」
ラミアはさらにイライラした様子で、叫ぶように言葉を発した。
「……ヘンゼルとグレーテルを見張ると言っておった……フォッフォッ…」
ドクター・ラマツは震える手で、ビーカーで謎の青い液体を計る。
「…あの子たちのことはリークが見張ってるはずよ…。…いや…でも……まさか…」
ラミアはそう言うと、突然パタパタと走り出し、姿を消した。