ブラッディ アリス
「そうね」
醒めた目つきでシャルル夫人を見下ろすアリス。
「それでキオネは私の物を奪うようになった。飼っていた猫や鳥も、育てた薔薇の花も、母様からもらった大事なオルゴールも、全部あの子に壊されたわ」
「…アリス…」
驚いたようにアリスを見上げるシャルル夫人。
「…あなたなんか…処刑されて当然なのよ」
容赦ないアリスの言葉に、思わずシャルル夫人の目からは涙がこぼれる。
「5年前の事件は?あれもキオネの仕業?」
アリスはシャルル夫人の前にしゃがみこみ、夫人を睨む。
「そ…それはたぶん…ガガゼルがやったのよ…。ラソエラの財産が目的で…」
「ふーん…やっぱりね…」
ニヤリと笑い、アリスは立ち上がった。
「鏡は…その事件が起こる前に、盗まれてしまったわ…」
「えっ?!」
アリスは思わず再びしゃがみこむ。
「そう…あの事件の後かしら…あの男が現れたのは…」