ブラッディ アリス
「……ドクター・ラマツ…。たぶん…二人ならすぐわかると思うんだけど…」
カイルのその言葉に、目を見開くタウティとザリチェ。
「…そいつがいた。…地下に…。ラミアは子どもたちを殺して、そいつに子どもの死体を渡して…そいつは子どもの死体から血液を抜き取って…地上の植物や土に流してる…」
タウティとザリチェは見つめ合い、頷く。
「アリ……アンジェラは…全部わかってるみたいだけど……」
「もういいです。王子。…もう隠す必要はないと思います」
「…え?」
カイルの肩にそっと触れ、優しく微笑むタウティ。
「…ノーカ…。この方は、カイル王子。アリエス国王家の、カイル王子」
カイルの座るソファーの真後ろに立つノーカに、ザリチェはゆっくりと説明する。
「…おう…じ…?…アリエス…?……カイルおうじ…?」
ザリチェの言葉を、繰り返すノーカ…。
「…じゃあ…アンジェラって…?」
だんだんと顔色が変わっていくノーカ…。
「あの方は…王子の妹ではないの。アリエス国貴族界を代表するアベル家当主…アリス・アベル様…」