ブラッディ アリス
カイルは少し何か考えた後、「ふぅ」と軽くため息をついた。
「そうえば、全然詳しいこと聞いてないや。…それどころじゃなくて…」
「………そう……それどころじゃないわ……」
突然、ザリチェの横に黙って座っていたカナリィが口を開いた。
「…カ…カイル王子…。さっき言ってた…『子どもを殺してる』って…どういうことですか…?」
いつもは穏やかな雰囲気のカナリィが、だんだんと体を震わせ、何かを恐れるような顔でカイルを見る。
「……そのままの意味。…今さっき、僕とアリスはそれを見てきた。寮舎シフォンの子どもたちが、少しずつ殺されてる。それがこの施設の現状」
「…ロ…ロビンは…?…弟のロビンはいませんでしたか?!」
立ち上がったカナリィに、周りの全員が集中する。
「……ロビンはいなかった…。…アリスがリトルメラ邸の書斎で会ったって…」
「…リトル…メラ…邸…?」
ガタンッ…!
カイルの言葉を聞いた瞬間、玄関のそばに立っていたクロウが外へと飛び出した。
「待って!クロウ!」
クロウを追いかけ、カナリィも外へと向かう…。