ブラッディ アリス
「カナ…!」
「行くなっ」
慌ててカナリィを追おうとしたオウルの前に、ファルコンの腕が伸びる。
「…ファルッ!なんで…っ」
「俺が行く。だからオウルはこいつらに説明しといてくれ…」
ファルコンはチラッとカイルの目を見ると、急いで寮舎から出て行った。
「………」
眉間にしわをよせ、苦しそうな表情のオウルは玄関に立ち尽くす…。
「…オウル…?」
ザリチェが不安そうにオウルに近づいていく。
「……僕らしくない…。…取り乱してしまい…すみません…」
自分の顔を覗き込むザリチェに、にっこりと微笑みを返すオウル。
そしてソファーまで静かに移動し、ゆっくりと腰かけた。
「…どういうことだ?…オウル…」
カイルがじっとオウルを見つめる。
オウルは一呼吸おくと、カイルに切ない笑みを返した。
「………そうですね…。…どこから説明しましょうか…」