ブラッディ アリス



「カナ…!」

「行くなっ」

慌ててカナリィを追おうとしたオウルの前に、ファルコンの腕が伸びる。

「…ファルッ!なんで…っ」

「俺が行く。だからオウルはこいつらに説明しといてくれ…」

ファルコンはチラッとカイルの目を見ると、急いで寮舎から出て行った。


「………」

眉間にしわをよせ、苦しそうな表情のオウルは玄関に立ち尽くす…。

「…オウル…?」

ザリチェが不安そうにオウルに近づいていく。


「……僕らしくない…。…取り乱してしまい…すみません…」

自分の顔を覗き込むザリチェに、にっこりと微笑みを返すオウル。

そしてソファーまで静かに移動し、ゆっくりと腰かけた。



「…どういうことだ?…オウル…」

カイルがじっとオウルを見つめる。


オウルは一呼吸おくと、カイルに切ない笑みを返した。


「………そうですね…。…どこから説明しましょうか…」




< 417 / 657 >

この作品をシェア

pagetop