ブラッディ アリス
「…はぁ…はぁ……ぼ…僕……どうして……」
涙目で二人を見上げるロビンは、事態を把握できていないように思えた。
「……ラビ……今のは何?…」
冷静な顔をしたアリスは、そのままの姿で立ち上がり、ロビンの足元にしゃがみこむ。
「…恐らく……別の人格が、彼の中にいるのだと思います…」
ラビは颯爽と自分のシャツを脱ぎ、アリスに羽織った。
「……やっぱり…ね…。…なんとなく…ナナリに似てた…」
震えるロビンの上に、アリスは四つ這いになって覆いかぶさる。
「……ア…アリス…さま…」
「…ロビン……。…この部屋で待っていてほしいの。今回の件が終わったら、私と一緒にアリエスへ行きましょう…」
「…え…?」
「……あなたの過去は変えられないけれど、未来を変える手助けならできるから…」
アリスの手が優しくロビンの頬に触れる。
「……はぁ……はぁ………どうし…て……」
息苦しそうにそう言ったロビンは、頬に一滴の涙を流し、気を失ってしまった…。