ブラッディ アリス


ラビはクスクスと笑いながら、室内に設置されてあるクローゼットをパッと開く。


「…だ……誰が捕まったの…?」

アリスは小走りでラビに近づき、羽織っていたシャツを静かにラビに手渡した。

「……下に行けばわかるよ…。…愚か者が…ね」


クローゼットの中には、色とりどりのワンピース…。
棚にはランジェリーが綺麗に並べられている。


「……さぁ、どの色をお召しになられますか?…グレーテル嬢…」

「…グレー…テル…?」

「ラミアは君とカイルのことを『ヘンゼルとグレーテル』だと思っている。絶好の機会だよ。…楽しんでおいで…」



ニヤリと笑い、大きな鏡の前へ裸体の少女を招く一匹の兎…。


少女は自分の真っ白な肌を見つめ、頭の中で繰り返す。




……そうだった……

私は…堕ちて行くの…ずっと…



闇に囚われてしまう前に


闇になるの



だから




「もちろん、黒よ。…ラビット…」





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